ここ最近,折り込みチラシなどの広告における価格表示について,景品表示法5条2号の有利誤認に該当す るものとして消費者庁が措置命令を行ったとのリリースが続いています。
平成29年6月28日
タイヤ販売店の新聞広告に「当社通常価格より『新聞見ました』で最大半額!」「通常1本価格3,900円が50%OFF 1,950円」などと記載していたが,実際には通常価格で販売した実績はなかったというもの。
平成29年5月12日
ガソリンスタンド(SS)の新聞折り込みチラシで,「通常検査費用14,040円」との文字が赤色のXで消された上で,「2015年10月末日までに車検ご予約または実施されたお客様は検査費用8,640円」と記載されていたが,実際には,2014年3月以降に通常検査費用14,040円で車検を実施した実績はなく,また,2015年10月末日を過ぎても,2016年11月30日まで8,640円で車検を実施することができたというもの。
平成29年3月28日
靴販売店の新聞折り込みチラシに「(メ)8,000円(税抜)→税抜¥5,600」などと 記載されていたが,実際にはその商品は自社製造製品であり,「(メ)」と記載された価格はメー カー希望小売価格ではなく自社で任意に設定した価格であったというもの。
平成29年3月22日
インターネットサービスプロバイダのウェブサイトに「月額料金最大6か月間無料」「キャンペーン期間2015年9月30日(水)まで」などと表示していたが,実際には毎月同じキャンペーンを続けていたというもの。
このような広告だけでなく,以下のように,店舗内でのPOPによる価格表示について措置命令がなされているものまであります。
平成29年3月8日
布団販売店の店舗内のPOPに「99,999円」などと表示しつつ,その下に「レジにて 50,000円」などと記載された割引札を表示していた。しかしながら,実際には「99, 999円」で販売した実績はなかった。また,商品に「3,999円」などと価格が記載された バーコードシールを貼りつつ,「レジにて30%OFF」とのシールが貼っていたが,実 際には「3,999円」で販売した実績はなかった。
景品表示法5条2号は,商品の価格について,実際よりも著しく有利であると誤解さ れるような広告や,同業他社と比べて著しく有利であると誤解されるような広告を禁止しています。 「通常価格」「メーカー希望小売価格」などを比較対象として表示し,実際にはいつもと変わらないのにあたかも今だけ 特別に安いのだと誤認させるような広告や,根拠のない 「市場価格」などを比較対象として表示し, あたかも競合他社より特に安いのだと誤認させるような広告は, 景品表示法5条2号が禁止する不当表示に該当します。
景品表示法5条に違反する行為があった場合には,消費者庁がその行為の差止めや再発防止等の措置を命ずることができます(景品表示法7条1項)。
消費者庁は,景品表示法5条に該当するかどうかの判断のため,事業者に対し,その表示の裏付けとなる合理的な 根拠を示す資料の提出を求めることができることとなっています。事業者が資料を提出しないときは、景品表示法5条違反があったものとみなされて しまいます(景品表示法7条2項)。
広告に「通常価格」などといった比較対象を表示するときは,それが本当に「通常価格」であることが証明できるような資料を確認し,その資料をいつでも提示できるよう準備しておく必要があります。