小規模事業場の労働安全衛生について

 労働安全衛生法という法律をご存じでしょうか。

この法律は、労働基準法と相まって、

① 「職場における労働者の安全と健康を確保する」

② 「快適な職場環境の形成を促進する」

ことを目的としています。

そして、この法律は、これらの目的を実現するため、事業者に対し、「単にこの法律で定める労働災害の防止のための最低基準を守るだけでなく、快適な職場環境の実現と労働条件の改善を通じて職場における労働者の安全と健康を確保するようにしなければならない」という責務を課しています。また、この法律は、労働者に対しても、「労働災害を防止するため必要な事項を守るほか、事業者その他の関係者が実施する労働災害の防止に関する措置に協力するように努めなければならない」という責務を課しています。

そのうえで、労働安全衛生法では、事業者に対し、衛生管理者や産業医などの「安全衛生管理体制の確立」や、 安全衛生教育の実施や健康診断の受診等などの「措置などの実施」を求めています。もっとも、業種や従業員数などにより、事業者に対する法律上の義務とはされていないものもあります。

そのため、近年、小規模な事業場においては、どのようにしてその事業場で働く労働者の安全や衛生を確保するのかということが問題となっています。

具体的には、常時使用される労働者が50人未満の小規模事業場においても、法律上、安全衛生管理体制について、安全衛生推進者や衛生推進者の選任、意見聴取の機会確保が要請されており、措置等についても、危険防止措置の実施、安全衛生教育の実施、健康診断の実施などが要請されていますが、現実には、人材や費用などの点から、必ずしも十分実施されているとはいえない状況にあると思います。

 しかしながら、労働安全衛生法が目的とする「職場における労働者の安全と健康の確保」「快適な職場環境の形成促進」自体は、本来、事業場の大小により左右されるものではなく、小規模事業場においても、労働者の安全衛生は実現されなければなりません。そして、その実現のためには、労働者間での議論・検討、労働者から事業者への提案・改善要請、労使協議の実施などが求められているのです。

 小規模事業場における労働安全衛生の確保については、下記のマニュアルが参考となります。このマニュアルは、企業経営者を主な対象とするものですが、労働安全衛生は、労使による協働が重要であることから、労働者側の立場からも非常に有用と思いますので、ご紹介させていただきます。

(参考)

「小規模企業の経営者のための産業保健マニュアル」

独立行政法人 労働者健康福祉機構ホームページ http://www.rofuku.go.jp/rofukukiko/tabid/139/Default.aspx

 

佐々木 潤 

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